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熱帯低気圧が強くなることで黒潮が強くなり、さらに高緯度地域も暖かくなる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

台湾東部で最強クラスの低気圧の強度と頻度が上昇したことで、北太平洋西部一帯に熱を循環させている太平洋の海流である黒潮の強さも増した。新しい研究によると、熱帯低気圧が強まることで黒潮に流れ込む海洋渦の中のエネルギー量が増加し、黒潮を加速させるという。この結果から、熱帯低気圧(TC)と高緯度地域の大幅な温暖化の可能性の間には正のフィードバックがあることが明らかになった。これとこれ同様のメカニズムを見落としている気候モデルは、今後予想される気候温暖化の大きさとパターンを誤って示してしまう可能性があると著者らは述べている。大西洋のメキシコ湾流と同様に、黒潮も大量の暖かい海水を熱帯から緯度の高い地域に運び、熱帯の熱を気温の低い高緯度地域に供給している。黒潮の速度(および熱伝導率)は主に風とより大きな潮に流れ込む海洋中規模渦に制御されている。Yu Zhangらは今回、台湾東部でのTCの頻度と強度の上昇 ―― 太平洋温暖化の結果 ―― には、黒潮に流れ込む低気圧性海洋中規模渦を強化する全般的効果があったことを示した。同時にそれは高気圧性海洋中規模渦を弱くしていた。その結果、黒潮は北に向かって加速し、より多くの熱エネルギーが中緯度および高緯度海洋に運ばれることになった。この結果は、温暖化との関係で大きくなった熱帯低気圧が海流に流れ込む下部の渦場を変えることによって大規模な海洋循環に影響を及ぼし、さらには離れた地域の温暖化を促進する仕組みを説明している。気候モデルで海洋渦を正確に表すには、さらに理論的なモデリング研究を行って、海洋渦、TCおよび大規模な海洋循環の相互作用に関係する物理過程をより正しく理解する必要がある。

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