News Release

ネットワーク状の相分離構造の新たな成長則を発見

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

Discovery of a new law of phase separation

image: Researchers at The University of Tokyo discover a new law about how the complex network of phase-separated structures grows with time, which may lead to more efficient batteries and industrial catalysts view more 

Credit: Institute of Industrial Science, the University of Tokyo

東京大学 生産技術研究所の田中 肇 教授(研究当時、現:名誉教授/シニア協力員)と舘野 道雄 大学院生(研究当時:東京大学大学院工学系研究科 博士課程3年、現:東京大学 総合文化研究科 特任助教)の研究グループは、コロイド分散系や単純な一成分からなる流体が気体相と液体相に相分離する際にみられる、ネットワーク状の相分離構造の成長過程を、大規模なシミュレーションにより研究した。その結果、二つの相における粒子の密度が大きく異なり、混み合った相と希薄な相の間で粒子の動きが大きく異なる場合、混み合った相で形成されるネットワーク構造の特徴的なサイズLが時間tの冪(べき)で、L~tνのように成長すること、さらには、この冪乗則の指数(成長指数)νが、これまで知られていた相分離の指数(1/3または1)とは異なり、ν=1/2となることを発見した。また、ネットワーク構造の成長が粒子濃度の高い相が変形を受けた際にすぐには安定な構造に戻れないということに起因していること(より専門的には、遅い力学的緩和に律速されていること)を明らかにし、この物理的な描像に基づいた理論的な解析により、成長指数ν=1/2を導出することに成功した。

これまでに相分離構造の成長過程について、3つの古典的な基本法則が知られていた。今回それらに加えて、数十年ぶりに4つめの相分離に関する基本法則を発見したといえる。この新たな成長則は、コロイド分散系、タンパク質溶液、リオトロピック液晶系などの様々なソフトマターから、単純な一成分液体にわたる幅広い物質群の気体・液体相分離に普遍的に現れることも明らかとなった。相分離現象は、不均一な構造形成をもたらす最も基本的な物理現象であり、ソフトマター材料の製造プロセスや生体内物質の構造形成(自己組織化)においても重要や役割を果たすことが知られている。従って、物性・統計物理の基礎的研究のみならず産業応用、生命科学といった広範な分野にインパクトをもたらすと期待される。

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