News Release

軟弱地盤上の氷河の流れ方を説明する新しい「法則」

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、氷河流モデルにおける不確実性の主因を突き止めるために、軟弱で変形しやすい物質の上を滑る氷河に関して、新たな滑動法則が提示されたという。今回の研究結果によって、普遍的な滑動法則を作るという長年の課題が解決されるかもしれない。この法則を利用すれば、地球規模の海面上昇に最大の影響を及ぼしうる氷河や氷床のモデルを制約できる。氷河は、固い岩盤(硬質地盤)から緩い砂利のような堆積物(軟弱地盤)まで、さまざまな地形の上を滑ったり急進したりする。氷河下の氷‐地盤接触面における摩擦・速度・水圧はいずれもよく知られた要素であり、こうした要素によって氷河の動きが決定されるため、氷河流モデルのデータとして使用される。しかし、モデルにおいて、移動する氷の下にある物質との関連でこうした要素を説明するのはこれまで難しかった。特に、南極大陸やグリーンランドの変形しやすい漂礫土の上にある、流れが速く、海洋に流入する氷河の多くでは難しい。そのため、軟弱地盤上にある氷河や氷床の多くは、西南極氷床を含めて、完全なモデル化がなされていない。その結果、将来の海面上昇を予測する際に不確実性の最大の原因となることが多い。従って、氷河の動きについて理解を深め、パラメータ化することは非常に重要である。Lucas ZoetとNeal Iversonは実験的物理モデルを考案して、水飽和した漂礫土上の氷河の滑動を左右する作用を突き止め、軟弱地盤の氷河について新たな滑動法則を導き出した。ZoetとIversonは、物理的機構そのものは異なるものの、軟弱地盤の滑動法則は硬質地盤の氷河を説明するために用いるモデルと同じパラメータをもたらすことを見出した。これらの結果をまとめることによって、氷河流モデルの一般的な滑動法則が生み出された。

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