新しいモデルは、安静時のヒトの脳のMRIに基づいて、個別の課題特異的脳結合性を予測できる。このようなツールは、このモデルが基盤としている健常集団以外に適用できれば、麻痺患者や乳児などの課題を行うことができない人の機能的脳領域を調べるために利用できる。また、この研究の結果は、個人間の結合性の差が先天的であることを示している。いくつかのエビデンスで、課題を行っていない(安静)状態のヒトの脳の活動性が、グループレベルで課題依存性ネットワークを反映しうることが示唆されている。この安静状態を用いて個人間の脳結合性の差を予想できるかどうか調べるため、Ido Tavorらは、Human Connectome Project(HCP)データベースの98人のデータを利用した。このデータは、安静時の脳活動と、意志決定(ギャンブル)や言語解釈(読むこと)などの7種類の行動ドメインに分類されるさまざまな課題遂行時の脳活動を捉えたものである。このデータを用いて、Tavorらは、ヒトの安静時の脳活動に基づいてすべての行動ドメインにおける個別の課題時の差異を正確に予想できるモデルを作成した。予想パターンと実際のパターンが重複していたことから、このモデルの精度が確認された。
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Science