American Association for the Advancement of Science (AAAS)
米国を襲った突然の寒波の前後でトカゲの集団を調査することにより、生き残ったトカゲが寒波に対してどのように迅速に適応したかを観察した結果、1世代という短期間でも下位個体群が極端な気候イベントに迅速な対応ができた仕組みが明らかになった。短期間ではあるが極端な気候イベントの後で野生個体群に影響を及ぼす自然淘汰を初めて直接的に測定した結果が報告されたのは、生物学者Hermon Bumpusが厳しい吹雪に対応してスズメの大きさが変化したことを発見した1898年であった。それ以降技術的に進歩はしたものの、厳しい天気事象への生物学的反応の例はまだなお驚くほど少ない。今回、Shane C. Campbell-Statonらが2013年8月にテキサス州の5つの地域でグリーンアノールトカゲ(Anolis carolinensis)が協調運動能力を失った時点の気温、限界温度を測定した。同じような測定を過去15年よりもかなり気温が落ち込んだ2013~2014年の冬の厳しい寒波の後も行った。南の地域で生き残ったトカゲはその寒波の前よりも寒さへの耐性が強くなっており、その強さの程度は北の地域のトカゲに匹敵することが判明した。さらにRNAシーケンシングにより、寒波の前後で個体間にかなりの相違が見られた14のゲノム領域も特定された。興味深いことに、遺伝子発現の変化は南の地域のトカゲにのみ起こっており、その遺伝子変化により北の地域のトカゲに近づいていた。それとは対象的に、北の地域のトカゲには変化は見られなかった。これは冬の気候変動がそれほど大きくはなかったためと考えられる。これらの結果についてはPerspectiveでPeter R. Grantが取り上げている。
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