筑波大学 生命環境系の谷本啓司教授、松崎仁美助教(TARAセンター)、国立成育医療研究センター研究所周産期病態研究部の秦健一郎部長らの研究グループは、哺乳動物における遺伝子発現のエピジェネティック制御の一つ、ゲノム刷り込みの分子メカニズムの一端を明らかにしました。
受精直後の胚では、全能性を獲得するために、ゲノムのほとんどの部分でDNAの脱メチル化が起こります(水色破線、ピンク破線)。そのような状況であっても、精子でメチル化されたH19 ICR配列は、受精後も父由来アリルのみでメチル化され続けることが知られており(青実線)、このメカニズムがよくわかっていません。本研究グループは、H19 ICR 配列が、精子でメチル化されなくても、受精直後の胚でその由来(精子 or 卵子)が識別され、父由来アリルで選択的にメチル化されることを見いだしました(緑実線)。この受精後DNAメチル化活性が、刷り込みメチル化状態の保護に重要であると考えられます。
###
Original source:
https://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p201511171200.html
Journal
Development