News Release

ネアンデルタール人とデニソワ人の遺伝子を併せ持つ唯一の現生人類

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ネアンデルタール人のDNAはアフリカ人を除くすべての現生人類に見られるが、メラネシア人だけはデニソワ人からも多くの遺伝要素を受け継いでいることが新しい研究によって示された。過去には多数の現生人類の祖先がネアンデルタール人やデニソワ人といった他のヒト科の種と異種交配し、その後絶滅した。これらの種およびおそらくその他のヒト科についても、残存する遺伝子配列の遺伝子流動図を作製することで、ヒトの遺伝的特徴のパターンと過去のこの異種交配がヒトの進化に及ぼした影響について解明が進む。Benjamin Vernotらはネアンデルタール人とデニソワ人の遺伝的特徴が現生人類に及ぼした影響とその重要性についてより詳しい手掛かりを得るために、世界各地の1,523人のゲノムを解析した。その結果、アフリカ人以外すべてはネアンデルタール人のゲノムの約1.5~4%を持っているが、調査を行った中でメラネシア人だけがデニソワ人のゲノムも1.9~3.4%持ち、デニソワ人も彼らにとっては重要な遺伝的祖先であることが判明した。そこでVernotらはネアンデルタール人とデニソワ人の遺伝子配列の遺伝子流動図を作製したところ、ネアンデルタール人との混合が現生人類の歴史の中で少なくとも明らかに3回は起こったことを発見した。対照的に、デニソワ人との混合は一度しか起こっていないと考えられる。さらに詳しく解析した結果、これら古代人は、大脳皮質と成人の線条体の発達に一翼を担う領域など、現生人類のゲノムの特定の領域が特に消耗していることが判明した。これらの研究結果はヒトの進化と遺伝子流動の解明にとって新しいヒントとなる。

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