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感染後5日でも抗体によりエボラの症状が消失

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らはエボラ生存者から2つのモノクローナル抗体を回収したが、そのうち1つはウイルスの抑制に効果的で、非ヒト霊長類に感染の5日後に投与したところ、ほぼ完全に疾患から防御された。エボラウイルスを標的とした抗体の様々なカクテルが現在試験中であるが、Davide Cortiらは、より簡単で、しかも効果的な治療を可能にするような、単剤または二剤併用剤を見いだそうとした。1995年のキクウィト(Kikwit)におけるアウトブレイクの11年後に生存者から回収されたモノクローナル抗体は、エボラウイルスに対する強力な中和活性を示し、生存者の免疫系は感染後10年以上にわたってウイルスの記憶を維持していたことが示された。これらのモノクローナル抗体のうち3つは、現在臨床試験が行われているZMapp抗体カクテルの1成分より25%高い結合能を示した。Davide Cortiらは、最も強力な2つのモノクローナル抗体、mAb100とmAb114を選んだ。マカクザルに対してこの二剤併用をエボラ感染の1日後から始めて24時間ごとに2回投与したところ、この群ではエボラの症状が認められなかった。感染の5日後にmAb114のみを投与した試験でも同様の結果が示され、エボラの接触者に対して、比較的日数が経っていても強力な治療薬となり得ることが示唆された。

Misasiらによる第二の研究では、これら2つのモノクローナル抗体の構造と、両抗体がエボラウイルスとどのように相互作用するのかが明らかにされた。この結果は、治療薬およびワクチンの開発に有用となり得る。両抗体は、エボラウイルスの表面に存在し、宿主細胞の膜への結合を助ける蛋白質である糖蛋白(GP)を標的とすることで作用するが、この蛋白質の異なる領域を標的とする。著者らによる結晶化構造の分析から、一般に試験されている基本的な抗体KZ52の結合の仕方と同様に、mAb100はGPの基部に結合することが明らかにされた。しかし、KZ52が単一の蛋白質と結合するのとは異なり、GPに結合するAb100の要素は結合時により多く移動するため、GPの3つのユニットに「掛け金をかける」ようにしっかりと結合する。以前の研究から、エボラウイルスが宿主細胞に侵入するには、GP上のある蛋白質ループが切断される必要があることが示されており、Misasiらの結果は、mAb100がこの切断に干渉することを示している。mAb114の分析から示さるのは、このモノクローナル抗体が、このループの切断後にウイルスの主要な受容体を遮断するということである。これらのデータからmAb114は、標的とするGPの領域は同じであるが、蛋白質ループの切断後にも結合したままであるため、ZMappカクテルで用いられている抗体よりも効果が高いことが示唆される。これらの結果は、mAB100とmAb114がエボラに対するこれほど強力な抗体である理由に新たな光を当てるものであり、生命を脅かすこのウイルスと闘うための将来の治療薬への道を開く可能性がある。

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