News Release

1回の津波と数多くの人工物の瓦礫(がれき)がどのように海洋生物の大量移動を引き起こしているか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

How One Tsunami and Lots of Manmade Debris are Triggering a Mass Marine Migration

image: An infographic depicting findings from Carlton et al. This material relates to a paper that appeared in the Sept. 29, 2017, issue of Science, published by AAAS. The paper, by J.T. Carlton at Williams College in Williamstown, Mass., and colleagues was titled, "Tsunami-driven rafting: Transoceanic species dispersal and implications for marine biogeography." view more 

Credit: Carla Schaffer / AAAS

新しい研究によると、2011年に東日本を津波が襲って以降、270種以上の海洋生物が瓦礫に付着して太平洋を横断したことが記録されているという。そのうえ、大半の瓦礫が生分解性のないことが多い人工物だったことから、沿岸種が生きたまま海を越えて分散することに人間が大きく関与していることが浮き彫りになった。2011年3月11日、海底巨大地震が日本を襲い、高さ38メートルを超える津波を引き起こした。沿岸が被害を受けた結果、小さなプラスチック片から漁船や巨大な桟橋に至るまで、さまざまな大きさの物体が無数に生じ、太平洋に流れ込んだ。今回James T. Carltonは、津波で発生した600個以上の瓦礫に付着して太平洋を横断し、ハワイや米国西海岸などに漂着した動物群集について、多様性を評価した。彼らの記録によると、289種の無脊椎動物と魚類が生きたまま日本から漂着し、その内訳は大型無脊椎動物(235分類群)、魚類(2分類群)、小型無脊椎動物(33分類群)、原生生物(19分類群)だったという。しかし、多くの種が1個の瓦礫のみで記録されていることから、著者らは、付着して太平洋を横断した実際の種数はこれよりはるかに多いだろうと推測している。人工物の瓦礫と自然物の瓦礫では大きく異なり、後者は寿命が短く、水に溶け、分解可能な物質(生分解性のある植物など)でおもに構成されているため、海を渡り切ることはめったにないと、彼らは述べている。注目すべきは、その前の2回の大地震が日本を襲ったのは、2011年の津波で観測された物の多くが人間によって作られ普及する以前だということである。関連するPerspectiveでは、Steven L. Chownがこの「前代未聞」の漂流について論じている。

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