SLAS Discovery(旧Journal of Biomolecular Screening)2017年9月号のDavid A. WalshおよびJoanne Stocksによる新規レビューでは、変形性関節症(OA)の疼痛に対する進化している治療法および今後の治療法を探究している。
ここでは既存の治療法の限界を取り上げ、OA疼痛の背後にある複雑なメカニズムの最新の知見を紹介し、興味深い新たな可能性および可能性のある新規治療標的を提案している。登録された最近の特許からは、今後のOA療法の領域が炎症、骨や軟骨;感覚神経;生体組織工学および栄養補助食品を標的とし得ることが示唆されている。
検討されている集中的な研究の新たな2領域は、効果的な疼痛治療を目標とする併用療法の採用とバイオマーカーの開発である。本疾患は多重メカニズムであるために、薬物療法のみでは効果がなく、その代わりに心理学的および理学療法的取り組みとの併用を必要とする可能性がある。疼痛を予測し、特定の治療法からベネフィットを得られる可能性が最も高い患者を分類するため、画像化、遺伝子バイオマーカーもしくはウェット・バイオマーカー(wet biomarker)の可能性が探究されている。異なる学問分野の境界を超えた複数のバイオマーカーを組み合わせることにより、治療の必要性もしくはアウトカムを予測する点でそれらの価値が増す可能性がある。
OA疼痛の根底にあるメカニズムの理解を深めることにより、新薬は、他の症状のために開発された薬剤を別の目的で使用すること、および関節に特異的な疼痛メカニズムを標的とした新規化合物からも生まれる可能性がある。
OAは最もよく見られるタイプの関節炎であるが、残念ながら、生活の質を改善するために現在実施可能で最も有効な治療法は全人工関節置換術である。
「New Therapeutic Targets for Osteoarthritis Pain(変形性関節症の疼痛における新たな治療標的)」を閲覧するには、SLAS Discoveryオンライン版http://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/2472555217716912にアクセスすること。SLAS DiscoveryはSLAS が発行する2つのMEDLINEインデックス付科学雑誌のひとつである。SLASおよびその雑誌に関するさらなる情報については、http://www.slas.org/publications/journalsにアクセスすること。
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SLAS DISCOVERY