News Release

白鳥座X-1にあるブラックホールの質量から異議を唱えられる恒星進化モデル

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

X線連星系である白鳥座X-1にあるフラックホールは、太陽質量の約21倍の重さがあり、非常に巨大であるため、現行の恒星進化モデルに異議が唱えられていることが新たな研究で明らかになった。最終的には、ブラックホールの質量は、その主星の特性によって決定され、その生涯を通した恒星風への質量損失によって概ね制約を受ける。ブラックホールが連星系を構成する伴星と相互作用すると、当該連星系からX線が放出され、時々、電波ジェットが形成されることがあるため、これによって、当該連星系をX線連星として電波観測で見ることができるようになる。既知のX線連星からの測定値によって、これらの系のブラックホールはすべて、質量が20太陽質量(M☉)未満であり、最大のもので15~17M☉であることが示されている。しかしながら、重力波によるブラックホール合体イベントの検出から、50M☉にまで到達するより巨大なブラックホールが発見されて、矛盾が明らかになっており、巨大な恒星からのブラックホール形成に関する現行理論に異議が唱えられている。今回の論文では、James Miller-Jonesらが超長基線アレイ(VLBA)を使用した白鳥座X-1(十分に研究されている恒星質量ブラックホールであり、我々の天の川銀河にある)の新たな観測を紹介している。2016年5月29日から6月3日の間、Miller-JonesらはVLBAを使用して白鳥座X-1を6回観測している(1日当たり1回)。新たなデータ及びアーカイブされている観測データを使用して、Miller-JonesらはこのX線連星への距離を精緻化し、以前に推定されていたよりも遠くにあることを発見しており、したがって、当該連星系のブラックホールの推定質量が21M☉に引き上げられている。今回の新たな測定によって、白鳥座X-1が現状知られている恒星質量ブラックホールであって、電波観測によって検出された最大のものであることが確立された。これらの著者らによると、天の川銀河においてこのように巨大なブラックホールが存在するためには、その前駆星の進化における恒星風を通じた質量損失が現行モデルの予測よりも小さくなければならないという。

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