関連する画像やデータに対するより優れた検索アルゴリズムを開発するため、研究者らのチームはミバエの脳に助けを求めた。とりわけ研究者らは、ミバエが匂いを分類する仕方にヒントを得た。検索アルゴリズムに同様の技術を用いることは、データを分類するための極めて効率的な方法であることが分かった。ミバエは、嗅覚ニューロンと呼ばれる匂いを検知するためのニューロンを約50種類もっており、これらのニューロンが様々な匂いに曝されると異なる割合で発火する。これらの嗅覚ニューロンにより収集された情報は、次いで50種類の投射ニューロンからなる第二のニューロンセットにより処理され、さらにケニヨン細胞と呼ばれる2,000個のニューロンにより処理されて、2,000個のケニヨン細胞のうちのたった5%だけが発火し、特定の匂いに対する「タグ」となる。ミバエの神経回路は、同様の匂いに対して同様のニューロン活動パターンを割り当てるため、ある匂いから学ばれた行動を、似た匂いを経験した時に適用できるようになる。例えば、一匹のミバエが砂糖水を「報酬」に関連付けるとしよう。たくさんの「タグ」を作る能力を持つとともに、密接に関係する対象を効率的にカテゴリー分けができれば、そのミバエの嗅覚系は、コンピュータ科学で一般的に用いられる類似検索と非常に良く似た計算を行っていることになる。しかし、通常用いられているコンピュータ・アルゴリズムは、ミバエのものとは異なっている。Sanjoy Dasguptaらが、ミバエの神経回路を真似るようデザインしたアルゴリズムを用いたところ、「ミバエ版」のアルゴリズムはデータの選別においてより優れた性能を発揮した。
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