News Release

循環血中DNAによる早期がんの非侵襲的な検出

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

DNAシークエンシングに基づいた新しい方法により、腫瘍に由来し循環血中に存在する遺伝子物質の断片を分析することで、早期がんの非侵襲的な検出ができる可能性が示された。この結果は、がん患者に対するより有用な検査および管理のためのツール開発への道を開く可能性がある。世界中で年間に1,400万人を超える人々ががんの診断を受けており、ほとんどの症例は、晩期にまで進行して治療選択肢がほとんどない段階になるまで発見されていない。このような状況から、大腸癌、卵巣癌、肺癌および乳癌の早期発見と臨床介入が可能になれば、年間100万人もの人々の命を救える可能性がある。Jillian Phallenらは、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)と呼ばれる、がん細胞から血流中に放出される遺伝子物質の小さな断片についてがんの分子シグネチャーを同定することを目的とした、超高感度の方法を開発した。大腸癌、卵巣癌、肺癌および乳癌の患者194例の血漿には、健康な人44例とは異なり、58個のいわゆるがんドライバー遺伝子のうち1つ以上の変異を有するctDNAが検出される頻度が高かった。ctDNAには血中に存在する総DNA(セルフリーDNA[cfDNA]と呼ばれる)のわずかな部分しか含まれていないため、著者らは新しいサンプル作成法とコンピュータ分析パイプラインを開発し、TEC-Seq法と名付けた。個々の分子について何万回ものシークエンシングを行うことで、著者らはctDNAを見つけ出し、cfDNAにおいてがんに関連する変異体と正常体とを識別して、偽陽性率は300万塩基対当たり1未満に抑えることができた。平均して、がん患者には健康被験者と比べて4倍以上のcfDNAが認められ、このレベルの増加は癌の悪性度の上昇と関連した。著者らによれば、より広範なドライバー遺伝子パネルを分析することで、TEC-Seq法の感度と特異度をさらに高められる可能性があるという。

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