News Release

クジラはなぜあれほど巨大なのか、なぜもっと大きくならないのか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

約300頭のクジラにタグを付けて10年以上にわたって調査を続けた結果、これら海の生物の大きな体は餌を高効率で消費するのに役立っているが、その巨大さは利用可能な餌量と採餌効率によって制限されていることが判明した。この結果は直感的には理解できそうだが、定量的データで確認することは難しかった。その大きな理由はこの巨大哺乳類の現地調査の難しさにある。関係するPerspectiveではTerrie Williamsが、クジラの基本的な生物学的ニーズについて知識を深めることはこれらの巨大な絶滅危惧種を守る取り組みにとって必要な第一歩だと述べている。体が巨大になるのは食料から得るエネルギーと消費するエネルギーの微妙なバランスにかかっている。陸上では通常、小型動物は小型の餌を、大型動物は大型の餌を食べるように、このバランスは上手く保たれている。しかし海ではこのパラダイムは崩壊する。世界最大のこの捕食者はとても小さな餌を食べており、この現象をどう説明するかは結論に至っていない。マイクロプロセッサ技術を用いて設計された潜水野生動物用の追跡タグを使い、Jeremy Goldbogenらはハクジラとろ過摂食クジラ ―― 地球上で最も小さいネズミイルカから最も大きいシロナガスクジラまで ―― に追跡タグを付け、それらのエネルギー効率(捕獲した餌から得たエネルギーを消費エネルギーで割ったもの)を計算した。その結果、どちらの種類のクジラも体が大きいほどエネルギー効率が高いことが判明した。これは餌の消費量の増加と効率的な採餌が可能になることによる。しかしハクジラの場合は、どのサイズのハクジラでも1回の潜水で採れる餌量が限られていることから、結局深海での採餌で得るエネルギーは制限されていた。対照的にろ過摂食クジラでは、食料から得られるエネルギーは一貫して急増しており、小さな餌の総生物量とエネルギー容量は最も大きなハクジラの餌のそれらの平均を上回っていた。これら歯を持たないクジラにとって体の大きさは、利用可能な餌量ではなく、自身の生態(オキアミが多数存在する海水を可能な限り素早く大量の飲み込む能力)によって制限されると考えられるGoldbogenらは主張している。以上をまとめると、彼らの分析から、ろ過摂食は膨大な量の小さな餌を高効率で摂取することによって巨大化への進化を推し進め、ハクジラにはこれは達成できなかったことが判明した。

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