image: Colorized micrograph of <i>Piromyces finnis</i>, an early-branching lignocellulolytic fungus, overlaid with an artistic representation of it degrading plant material. This material relates to a paper that appeared in the Feb. 18 2016, online issue of <i>Science</i>, published by AAAS. The paper, by K.V. Solomon at University of California, Santa Barbara in Santa Barbara, CA, and colleagues was titled, "Early-branching gut fungi possess a large, comprehensive array of biomass degrading enzymes." view more
Credit: Peter Allen
研究者らは、植物バイオマスを分解する菌類から分泌される酵素についてライブラリを記録し、こうした酵素が相乗的に機能する様子を詳細に示した。この研究結果は、バイオ燃料の生産を単純化し、生産コストを下げるのに役立つ可能性がある。リグノセルロース（植物の乾燥物質）は、エタノールなどのバイオ燃料を生産するための材料としては、地球上で手に入るなかで最も豊富にある。しかし、現行の方法でこうしたバイオマスを燃料に変換するには、コストのかかる前処理工程が必要になる。草食動物の腸内にいる菌類は、リグノセルロースの分解に非常に有効である。そこで、Kevin Solomonらは異なる餌を与えた草食性哺乳類の糞を採取し、3種類の未同定の培養菌（Anaeromyces robustus、Neocallimastix californiae、Piromyces finnis）を分離した。これらの菌類が分泌する酵素のリグノセルロース分解能力は、現在工業的に使用されている菌類に匹敵し、場合によっては現行の菌類をしのぐものもある。特にPiromycesは、植物細胞壁の成分を分解する能力が300％も大きい。著者らは、Piromycesがバイオマスの分解能力に優れているのは、酵素の多様性よりも相乗作用が重要な鍵となっていると述べている。彼らのデータから、いくつかの特定の酵素が素早く機能し、密接に連携して、頑丈な植物細胞の壁を分解することが示唆された。この相乗作用についてさらなる洞察を得るため、Piromycesの培養菌をグルコースにさらしたあと、クサヨシへの曝露を行い、RNA転写の変化を観察した。この変化の過程で、バイオマスの分解過程を共調節する17の転写物が確認された。これらは生命工学で役立つ分解酵素になる可能性がある。
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