【発表のポイント】
高強度テラヘルツ(THz)光をアクチンタンパク質に照射したところ、繊維化の促進が観測された。
THz光がタンパク質の機能構造の変化を誘起することを初めて実証した。
【概要】
東北大学大学院農学研究科の山崎祥他博士(現理化学研究所テラヘルツイメージング研究チーム基礎科学特別研究員)と原田昌彦准教授らは、京都大学大学院農学研究科の小川雄一准教授、理化学研究所テラヘルツイメージング研究チーム保科宏道上級研究員、福井大学遠赤外領域開発研究センターの出原敏孝特任教授らと共同で、テラヘルツ(THz)光注1照射によりアクチンタンパク質の繊維構造形成が促進されることを明らかにしました(図1)。アクチンは繊維化して細胞骨格構造を形成する主要タンパク質で、皮膚の傷が治る際の細胞の移動や、癌細胞の浸潤・転移などにもアクチンが中心的な役割を果たします。さらに細胞核内のアクチンが遺伝子の機能を制御し、遺伝子初期化(万能細胞形成)にも関与することが知られています。THz光は生体への影響が小さく、また薬剤とは異なり細胞内に残留しません。このため本研究の成果は、安全で効率的な細胞機能の操作技術開発に繋がることが期待されます。
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本研究成果は、2018年7月3日、英国のオンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。
Journal
Scientific Reports