News Release

「合成葉緑体」により人工生物系において光を動力源とするCO2固定が可能に

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究で、マイクロ流体力学とホウレンソウの天然光合成膜を組み合わせることで、生物のように複雑な光合成過程を再現できる「合成葉緑体」を開発したと報告された。関係するPerspectiveではNathaniel GautとKatarzyna Adamalaが、「著者ら」は合成生物学における大躍進と自律型合成細胞の創製に向けた極めて重要なマイルストーンを達成したと書いている。光合成炭素固定とは、光エネルギーを利用して無機炭素を地球上の生命の大半を支えるのに必要な有機化合物に変換する基本的な生物学的過程である。したがって、光合成のような過程を使う生きた人工細胞に、ほぼ無限に供給される光を利用して同化エネルギーを供給する能力は、完全な合成生物を開発する上で大いに追求される目標である。自然界では光合成は葉緑体と呼ばれる特殊な細胞小器官で行われている。細胞小器官ではチラコイド膜が光エネルギーをアデノシン三リン酸(ATP)と還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)に変換し、次にそれらを使って無機二酸化炭素から有機分子が作られる。しかし、人工系で複雑な自然の光合成過程のような合成炭素固定メカニズムの操作を可能にするのは依然として難しい。Tarryn Millerらは今回、天然および合成の生物組織を融合して、光合成に不可欠な特徴を持つ葉緑体に似たマイクロ流体液滴を作った。彼らの方法は、マイクロ流体力学とホウレンソウの天然チラコイド膜を使って、細胞大の合成液滴内で炭素固定などの光を動力源とする複雑な生合成作業を起こすというものである。Millerらによると、この「合成葉緑体」マイクロ液滴は光合成過程を改良したり、自然界にはない光合成過程を行ったりするようにプログラムでき、小分子や医薬品の合成から環境炭素を隔離するための人工生物系まで様々に応用できるという。

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