News Release

CRISPRの新たな領域:RNAを編集する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

遺伝子編集ツールCRISPRは科学者がDNAを変更する能力に革命をもたらしたが、現在、このツールの新バージョンはRNAを標的にすることができる。DNAの代わりにRNAを編集する利点はいくつかある。例えば、DNAにかかわる倫理上の懸念が緩和されることや、科学者がより適切な期間(重要な発生期間中など)に生体内での編集ができることである。今回David CoxとFeng Zhangらは、Casタンパク質(核酸分解酵素)の新たなサブファミリーの特性を詳細に明らかにした。彼らは活性型のCas13を発見し、Cas13bと名づけた。また、プログラム可能なRNA編集を実行できるバージョンのCas13bを作り、その方法をREPAIRと呼んだ。REPAIRを用いてCoxらは特定のRNA塩基の標的編集を行い、常に20~40%の効率で、時には最高89%の効率で成功を収めた。さらに、改変型のREPAIRv2では特異性が900倍以上に増加しながらも、正確で安定したRNA編集が維持されていることを見いだした。この仕組みをさらにテストするため、著者らはREPAIRv2を使って既知の変異を含む全長RNA配列を変更し、細胞内送達ベクターと呼ばれる分子シャトルに詰め込むのに適した機能的な短縮型を作った。著者らによると、Cas13bは複数の変異型を修正することが可能であり、単一では疾病リスクを変えられないかもしれないが、組み合わせれば相加効果が得られて疾患修飾が可能になるかもしれないという。さらに彼らは、この仕組みを拡張(有望な変異を組み合わせるなど)すればシステムの効率と特異性がさらに増す可能性があり、また、無作為なスクリーニングをすればREPAIRの機能を改善するための標的をさらに特定できる可能性があると強調している。この前進によって、研究・臨床の両方においてまったく新しい道が切り開かれるかもしれない。

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