News Release

人工的な未来の二酸化炭素回収法

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

植物よりも速いスピードで二酸化炭素を「固定」できる人工的な経路が、研究者らによって開発された。現時点ではこの経路を実際の生物に応用するまでには至ってはいないが、効率良く二酸化炭素を固定するサイクルを作り出す研究は技術的な偉業を意味しており、より迅速かつ少ない消費エネルギーで生きている植物への移植を可能にするといった応用の可能性を秘めている。化石燃料利用によって放出された二酸化炭素の吸収において自然界での光合成は大きな役割を果たしているが、産業革命以降の二酸化炭素量の正味の増加は防がれてはいない。この理由の1つとして、この過程に関係している主な酵素の働きが比較的遅いことが挙げられるが、この酵素以外にもより高効率な酵素が存在する。今回Thomas Schwanderと共同研究者らは、このような高効率な酵素を利用した二酸化炭素の固定経路を新たに作り出すため、9種の植物から慎重に選ばれた17種の酵素物質を集め、二酸化炭素を有機分子に変換するための経路を作り出した。著者らは関連する個々の酵素を再設計したりすることで各段階での最適化を実施し、当該サイクルの更なる改良を図った。高分解能質量分析により、今回開発された経路は自然界に存在する植物内のカルビン回路よりも速いスピードで二酸化炭素を取り込むことが可能であることが生体外実験で証明された。今回の結果は植物の光合成能力の改良への応用可能性だけでなく、炭素をベースとした牛用飼料の生成系統、更には所望の化学製品を作成するためにも利用可能である。Fuyu GongとYin LiによるPerspectiveでは、今回の研究結果に関する更なる洞察を提供している。

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