研究者らは、太陽放射への曝露をリアルタイムでモニタリングできる電池不要のワイヤレスセンサーを開発した。この小型デバイスは、屋外での活動中における紫外線放射量をモニタリングする上で、また皮膚疾患に対する光ベースの治療を最適化する上で有用となる可能性のある、持ち運び可能で柔軟性のある手段を提供する。紫外線光への曝露量が大きくなると、悪性黒色腫やその他の皮膚悪性疾患のリスクが高まる可能性があり、これによるコストを合計すると米国において年間81億ドルがかかり、また米国内で「疾患流行のレベル」に達するとが予想される。しかし、光への曝露には治療効果もある。青色光療法の使用は、早期産児の50~60%にみられる肝臓関連の病態である黄疸を呈する乳児に対する標準治療となっている。これまでの紫外線モニタリングデバイスは、電池の寿命が限られているなどの欠点があり、このために利用が広まらなかった。こうした問題を克服するため、Seung Yun Heoらは、低コストの技術を用いて、様々な種類の放射をモニタリングできる柔軟性のある装着可能なセンサーを開発した。このセンサーは「システム・オン・チップ」仕様となっており、スマートフォンを用いて個人に装着されたセンサーが読み取った太陽光曝露のデータにワイヤレスでアクセスが可能である。健康ボランティアに、屋外のレクリエーション活動(ウォーキングや水泳など)の時にこのセンサーを4日間にわたり装着させたところ、このセンサーの機能は持続し、太陽による紫外線A波の放射量の読み取りデータは信頼できるものであったことが示された。その上、このセンサーは様々な形態と大きさで製造され、臨床使用の光療法用に紫外線A波およびB波を測定できた。また、黄疸に対して青色光療法を受けている乳児において光線曝露量のモニタリングにも成功した。Heoらは、このセンサーは洗濯機で一回洗われた後でも機能に変化はなかったと述べている。
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Journal
Science Translational Medicine