News Release

多極子磁場を有する今までで最も明るい中性子星

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ある中性子星が物質を非常に高速で消費しているので、他の中性子星より多くのX線を放射していることを科学者らが発見した。この中性子星が複雑な多極子磁場を有している場合に限って、その極端な明るさを説明することができると、この発見を行った研究者らが述べている。超大光度X線源(ULX)は、近傍にあるいくつかの銀河で見られ、我々の住む銀河にあるどのX線源より明るく輝いている。そのように強烈なエネルギー量が放出されるためには、周辺の物質が降着しているブラックホールからULXにエネルギーが供給されていなければならないことが簡単な計算から示されている。今回の論文では、Gian Luca Israel らが、XMM-Newton (X-ray Multi-Mirror Mission)およびNuSTAR (Nuclear Spectroscopic Telescope Array)と呼ばれる宇宙望遠鏡を使用して、近傍のNGC 5907渦巻銀河にあるULXから放射されるX線の中に周期的な信号が存在することを検出し、ブラックホールではなく、自転する中性子星によってエネルギーが供給されていることを示唆している。この中性子星は、NGC 5907 ULX として知られているが、物質が非常に高速で降着しているので、その自転周期は、驚異の率で加速している。2003年には1.43秒であった自転周期が、2014年には1.13秒に変化している。この中性子星のピーク光度は、通常の中性子星に想定される値より約1,000倍、エディントン限界光度を上回っている。ここで、エディントン限界光度とは、外部に向かう輻射圧と内部に向かう重力との間の釣り合いによって決まる理論的な上限である。観測データを説明できる唯一の方法は、この中性子星に単純な(双極子による)磁場がない場合であると今回の論文の著者らは述べている。強い多極子磁場によって、NGC 5907 ULX の極端な特性を説明するとともに、この中性子星がどのようにしてエディントン限界光度を上回っているのか説明することができることがモデル化から示されている。

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