かなりの量のglucosepaneを合成できる新しい方法が、研究者に、グルコースとの反応が人体の重要な蛋白質の構造をどのようにして不良に変化させうるのかを研究する念願の方法を提供しそうである。疾患関連タンパク質にglucosepaneが蓄積していることは、glucosepaneが糖尿病などのさまざまな健康上の問題に何らかの役割を果たしている可能性を示しているが、人体からglucosepaneを単離することが困難なため、研究の試みが妨げられてきた。しかし、glucosepaneの合成は、人の疾患におけるこの化合物の役割をよく研究するための魅力的な解決策となる。glucosepaneには8種類の立体異性体(変種)がある。Cristian Draghiciらは、これらを合成する方法を明らかにするため、過去の研究に基づき、推定されたglucosepaneのコア構造から始めて、理論計算を用いて、異なる立体異性体に考えられる配置を明らかにした。Draghiciらは、ここから、glucosepaneの異性体のうち2つのコア構造を作るのに必要な合計8つのステップの概略を明らかにし、全収率12%に至った。Draghiciらは、出発物質の構造を調整することで、残りの6種類の異性体に至る経路も示唆している。さまざまな形態のglucosepaneの合成が可能となったことから、この犯人物質の密接な解析により、糖尿病などの健康上の問題にこれがどのように厳密に関与しているか、そして有害な影響に対抗する方法を明らかにできるかもしれない。Dale BogerのPerspectiveで、背景をさらに説明する。
Article #9: "Concise total synthesis of glucosepane," by C. Draghici; T. Wang; D.A. Spiegel at Yale University in New Haven, CT; C. Draghici at Broad Institute of MIT and Harvard in Cambridge, MA; T. Wang at Harvard University in Cambridge, MA.
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