皮膚細胞の運命(汗をかく、毛が生える)を決定する胚発生中のシグナルと正確なタイミングが明らかになった。暑くなりすぎるとハーハー息をしたり日陰を探したりする必要のある他の哺乳類と違って、ヒトは汗をかくことで自らを冷やすことができる。このかなり独特な能力によって、ヒトは例えば極端な温度に耐えたり、マラソンを走ったりすることができる。しかし、「汗をかく」または「毛が生える」細胞を分化させる基礎的な機構はほとんどわかっていない。見識を得るため、Catherine Luらは、マウスが背中に毛包(HF)の形成のみを支持する皮膚細胞を持ち、脚に汗腺(SwG)の形成のみを支持する皮膚細胞を持っているという事実を利用した。これらの2種類の細胞間のRNA発現の違いに基づき、研究チームは、間葉系由来の骨形成タンパク質(BMP)が、マウスの背中にある毛が生える細胞に比べて脚の皮膚細胞に有意に豊富であることを発見した。特にBmp5は、皮膚細胞の運命の区別に何らかの役割を果たしていることが明らかになった。例えば、Bmp5を遮断すると、マウスの脚の皮膚に出現する汗腺の数が減少した。Luらは、この分化の背後にあるWntおよびFGFタンパク質などの多数の他の機構も明らかにした。ヒト頭皮皮膚検体では、17週目に15週目に比べてBMPおよびFGF遺伝子発現が増加していることがわかった。これはヒトにおける髪の毛から汗腺のもとの形成への移行と同じ時期である。これらの知見は、未来の皮膚再生治療へ道を拓くと著者らは述べている。Yung Chi LaiとCheng-Ming Chuongが、関連するPerspectiveで、進歩について議論する。
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