有名なシュレディンガーの猫の生死状態のパラドックスに絡んだ新しい実験により、「量子猫」は2つの場所で同時に「生きている」と「死んでいる」という2つの状態でいられることが判明した。多数の光子が重なり合った(もしくは、もつれた)状態になるというこの結果により、計算と長距離通信のためのアプリケーションで複雑な量子状態を操作する能力が示された。この結果はまた、科学者らがそういった量子コヒーレンスに巨視的規模でおそらく初めて到達できたことも表している。シュレディンガーの猫の思考実験は原子や光子といった量子系が複数の状態の組み合わせとして存在できる方法を探る有名な思考実験で、その状態は量子重ね合わせとして知られている。箱の中に閉じ込められた可哀想な猫が生きているか、死んでいるか ―― 箱の外側から観察する科学者には箱を開けなければ猫の状態を知ることはできない。したがって猫は観察されなければ、生きており、死んでもいる。それと同様に、量子物理学では亜原子粒子はある状態、もしくはもう一つの状態を取ることができる。一方、亜原子粒子は空間を超えて「結合」できる。Chen Wangらは今回、空間的に離れた2つのマイクロ波空洞を作り、1つの波長だけが同時にそれら2つ空洞の中に存在できる方法で光波を当て、空間的に離れたその2つの場所に同じ性質を与えた。その2つの空洞は電圧をかけなくても流れる電流、超伝導電流によって接続した。次にWangらは1つの空洞の光子を迷路のようなゲートに接触させ、明らかなスピンを与えた。このようにして光子に2つの状態(猫が生きている、死んでいるように)をとらせ、接続している空洞の光子がそれと同じ状態であることを観察した。今までのところWangらは「量子猫規模の」光子を最大80個観測しており、より大きな規模のものは特別にコントロールしたパルスを使うことで達成できると述べている。
###
Journal
Science