ある人の携帯電話の使用によって、その人の社会経済状態の側面、例えば電気の利用などを推測できることが、新たな研究により示唆されている。ルワンダを対象とした研究により、携帯電話に基づく指標が、資源の限られた地域における「ビッグデータ」の情報源として使用できることが明らかにされた。発展途上国では、財産や収入などの基本的な経済的定量データの収集は難しく、信頼できる定量データはごく少ない。例えば、アフリカの大部分において、経済的生産に関する全国統計値には50%もの誤差があることが、以前の研究から示唆されている。しかし、貧困と富の地理的分布は、政策決定者などにとって極めて重要である。今回Joshua Blumenstockらは、発展途上国において貧困と富がどのように分布しているかを測定するための新しい方法の開発に取り組んだ。著者らは、ルワンダにおいて携帯電話が至る所に普及していることを利用した。携帯電話による個々の通話データを、電話調査の情報と組み合わせることで、Blumenstockらは携帯電話の個人ユーザーの富と富裕を、(人工衛星で得られる解像度よりも)極めて高い解像度でマッピングするモデルを構築した。このモデルを用いることで、ルワンダ全国の富を予測し、結果的にこのモデルに基づいた予測は、ルワンダの住民集団を対象とした詳細かつ地道な調査と一致することが示された。Blumenstockらによれば、今回著者らは貧困に焦点を当てたが、機械(デバイス)を利用したその手法は、人口統計学的特性から世論に至るまで、他の特性の予測にも使用できるという。彼らの新しいデータ収集法は、従来の方法と比べてはるかに安価に、特定地域においてタイムリーな情報を収集する選択肢を提供している。
Journal
Science