News Release

機密データのクラウドソーシングにより創薬を加速化する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らは最新の暗号および機械学習のツールを利用して新たな計算プロトコールを開発し、これにより新薬の開発において、研究に参加した個人に属する基礎の機密データを開示することなく、複数の製薬企業や図書館の研究者が研究を安全に共有し、共同開発を行うことが可能になる。この報告によれば、実験データセットを共有することで、薬物標的相互作用(drug-target interaction:DTI)を明らかにするためにデザインされた予測モデルの能力が高まり、現在の最先端の方法よりはるかに効率的かつ広範囲において新薬候補の予測が可能になり、新薬開発が大幅に加速化され得るという。製薬企業と大学研究室との共同開発の取り組みにより、すでに新薬開発において実り多い結果が示されているが、そうした取り組みは知的所有権および金銭的利害の競合に関する懸念のために範囲が限られるとともに、複数の組織間でのデータ共有は機密性を保持する必要性から制限される。秘密計算技術(secure multiparty computation:MPC)プロトコールは最新の暗号ソリューションを提供し、データの機密性を守りながら共同の取り組みを促進する。しかし著者らによれば、既存のMPCの枠組には、新薬を予測するために必要とされる、大規模なデータセットを処理する複雑なアルゴリズムを実行する能力が不足しているという。この必要性に応えるため、Brian Hieらは安全なMPCに基づく共同の取り組みによるDTI予測のための計算プロトコールを開発した。このプロトコールは、機密データを盲検化し、複数の共同研究グループ間に計算タスクを振り分ける。同時に、安全に結合されたデータセットは、DTI予測のためのニューラルネットワークモデルをトレーニングするために用いられた。結果としてこのプロトコールは、4日間のトレーニングを行ったモデルにより、百万件を超える相互作用に関するデータセットにおける広範囲のネットワーク上で、正確な結果を出すことができた。この方法は、創薬における共同作業のための有望なソリューションであることが示されただけでなく、機密性の懸念のために共同の取り組みが妨げられている他の領域でも用い得ると、著者らは示唆している。

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