変化が原因で高山帯に生息するマルハナバチの中舌の長さが短くなり、これによりこれらのマルハナバチは、以前は適応していた長花筒の花からの蜜の採取や授粉に適さないようになるという。この研究結果は、相互恩恵的な特定の生態学的関係が地球の気候変動のために失われる可能性があることを強調している。共に進化してきた多数の種は精密に合致する特徴を持っている。たとえば、長い中舌を持つマルハナバチは長い花冠筒を持つ花から蜜を集めることにうまく適応している。最近の研究により、中舌の長いマルハナバチの数が減少していることが示されている。この理由を詳しく把握すべくNicole Miller-Struthmanらは、高山帯に生息する中舌の長いマルハナバチ2種類がいるコロラド州の複数の高高度地域を調査した。1966年~1980年と2012年~2014年に収集したマルハナバチの試料を用いて中舌の長さの変化を測定した結果、中舌が著しく短くなっていることが判明した。次に、Miller-Struthmanらは保存されているハチの試料とマルハナバチと宿主植物の現場調査により、この変化の原因として考え得るメカニズムを調査した。彼らの報告によると、それは体の縮小化や侵入者との競争、その地域の花との共同進化の結果ではなく、むしろ、夏の気温が上昇した結果であった。この気温上昇によりマルハナバチが好む長花筒の花の数が減少し、マルハナバチは一般的なハチのように多数の短花筒の花など残っている花から蜜を集めざるを得なかった。このことがひいては生き残るための適応としての中舌の長さの減少につながった。このパターンから他の生態系における気候変動の今後の影響が予想できるとMiller-Struthmanらは述べている。この研究結果は気候変動によっていかにしてハチと植物の間の揺るぎない共生関係が断ち切られるかを浮き彫りにしている。
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Note: This paper will be available for free when the embargo lifts at http://www.sciencemag.org.
Article #21: "Functional mismatch in a bumble bee pollination mutualism under climate change," by N.E. Miller-Struttmann at SUNY College at Old Westbury in Old Westbury, NY; N.E. Miller-Struttmann; J.D. Franklin; R.M. Holdo; A.M. Lynn; C. Galen at University of Missouri in Columbia, MO; J.C. Geib at Appalachian State University in Boone, NC; P.G. Kevan at University of Guelph in Guelph, ON, Canada; D. Ebert-May at Michigan State University in East Lansing, MI; J.A. Kettenbach at North Carolina State University in Raleigh, NC; E. Hedrick at Lincoln University in Oxford, PA.
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