大統領選挙が行われた2016年、政治的見解が対立する人々の集団は政治的見解を同じくする人々の集団よりも感謝祭ディナーの時間が20~50分短かったことが新しい研究で明らかになった。政治的見解が対立する人々と共に過ごす時間の減少は、大量の政治広告を見た人々の方がさらに大きかった。アメリカ人の政治的協力関係はこの25年間に急激に強化しており、1990年代半ばでは20%程度であったが、2016年では55%以上の民主党員と共和党員が対立政党に対して「非常に敵対的な」感情を表している。政治に対する意見のこういった分裂は選挙で明白に出る一方、Keith ChenとRyne Rohlaは政治的緊張が家族レベルの動向にどう影響するかの調査を試みた。彼らは1,000万人を超えるアメリカ人の匿名化されたスマートフォン位置情報を使用し、2016年の感謝祭ディナーに費やされた時間を追跡した。支持政党を調べるには、全国99.9%の郡にわたる約172,000の選挙区からの大統領選データを分析した。結果、政治的見解が対立している家族では感謝祭ディナーの時間が大きく減少していたことが判明した。平均すると民主党員が共和党員の感謝祭ディナー主催者を訪問する時間は約20~40分、共和党員が民主党員のディナー主催者を訪問する時間は50~70分短くなっていた。ChenとRohlaは政治広告データを使用し、政治広告が感謝祭ディナーに出向く家族のメディア上に1,000本放映されるごとにディナーの時間が平均で約2.6分短くなっており、党派を超えた感謝祭ディナーの時間が大きく減少していたことを発見した。注目されるのは、この選挙戦中にスイングステートにおける一部のメディア上に26,000を超える政治広告が放映されたことである。つまり、投票について意見が対立しているオーランドの家族の感謝際ディナーの時間は、たとえばメディア上に広告がなかった家族と比べると最大69分短かったことになる。国全体として見ると、2016年の感謝祭では党派の違いが原因でアメリカ人は相互交流のための時間を7,360万時間も犠牲にしていた。
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