News Release

細菌に感染するウイルスが嚢胞性線維症において慢性感染症を悪化させる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

嚢胞性線維症(CF)患者92例のサンプルを調べた研究から、ある種のバクテリオファージ(細菌に感染するウイルス)が、CFに伴う細菌感染症を悪化させることが明らかにされた。この結果は、このバクテリオファージがCFにおける臨床転帰不良の主要な原因となっている可能性とともに、CF患者の感染症を軽減するための新規治療薬の標的となり得ることを示している。CF患者において最も多くみられる慢性感染症の原因の一つは緑膿菌である。緑膿菌は気道感染を引き起こしやすく、抗菌薬耐性を示す場合が多い細菌である。これまでに、動物モデルにおいて繊維状ファージ(Pfファージ)が緑膿菌感染症の重症度を高め得ることが観察されているが、Pfファージがヒト疾患に関与しているかどうかは不明である。 さらなる知見を得るため、Elizabeth Burgenerらは2グループのCF患者から採取した喀痰サンプルについて細菌ゲノムを分析し、第1グループの患者34例中9例、および第2グループの患者58例中21例が、持続的にPfファージを保有していることが分かった。両コホートにおいてPfファージ保有患者は概して非保有患者より高齢であり、より大きな第2コホートでは、保有患者は慢性緑膿菌感染症を有している割合、および肺機能が不良である割合が高かった。さらに第2グループの患者では、ファージに感染した緑膿菌に標準的な抗菌薬であるアズトレオナム、アミカシンおよびメロペネムに対する耐性が高い割合で認められた。著者らは、これらのファージの結晶構造により抗菌薬が捕捉され、抗菌薬の拡散が妨げられることを発見し、これにより抗菌薬の効果が抑制されることが説明される可能性があると考えた。したがって、今後の研究では、抗菌薬耐性のメカニズムについてさらなる研究が必要である。著者らは、今回の結果がより大規模な独立したコホートで確認されれば、Pfファージの有無を調べる診断検査の開発が臨床ケアにとって意義を持つ可能性がある、と述べている。

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