カラスは後でより良い報酬を得るために現下の報酬を進んで見送ることが新しい研究で明らかになった。先を見据えて計画するという複雑な認知的作業はもっぱらヒトとその他の類人猿にのみ見られる。カラスなどカラス科の鳥類の中にも先を見据えて計画する能力のある鳥がいることが示されているが、そのような研究結果は貯食の場合に限定されていた。Can Kabadayiらが今回、先を見据えて計画するというカラスのこの能力について一連の実験を通してより詳しい調査を試みた。初めに、報酬を得るために道具を使って問題箱を開けるようにカラスを訓練した。次に、問題箱を開ける道具は見せず、問題箱だけをカラスに見せた。その後、問題箱は取り去り、1時間後に問題箱を開ける道具と複数の「妨害物体」をカラスに見せた。ほぼすべてのカラスが問題箱を開ける正しい道具を選択し、15分後に箱を出されると、その道具を使って箱を開けた。正解率は86%であった。カラスがトークンを使って物々交換で報酬を得るという類似する実験でも高い正解率(78%)が出た。次に問題箱を開けるための正しい道具、妨害物体である道具、現下の報酬をカラスに見せ、そのうち1つだけを選択できるようにした。現下の報酬は問題箱の中の報酬ほど魅力的ではないものにした。そうすることで、カラスが後により魅力的な報酬を得るために小さな現下の報酬を見送ることを選択するかどうかを調査できる。正しい道具やトークンを提示しない対照実験では、すべてのカラスが現下の報酬を選択した。しかし、より魅力的な後の報酬を得るための道具やトークンが提示されると、実験のうちの73%でカラスはそれらを選択した。Markus BoeckleとNicola S. Claytonが関係するPerspectiveでこれらの研究結果について説明している。
###
Journal
Science