世界中の生態学的群集は多様性に富んでいるが、新しい研究によるとこれらの多様な群集の多くは予想外にも一貫した個体数の変化パターンに従うという。被食者が多いとそれに比例して捕食者も増えるというわけではなく、むしろ、被食者の生物量が増加するにつれ、被食者に対する捕食者の生物量の割合は減少する。このパターンは草原、森林、湖および海などの様々な領域で一貫して確認され、これにより生態系の基礎を成す構造的構成が明らかになった。Cebrianが関連のPerspectiveで説明しているとおり、炭素隔離や食物生産といった生態系が提供する物やサービス(services)の多くを左右するのがこのような構造であることから、このような基礎を成す構造の特定は重要である。Ian Hattonらは生態学的傾向を大規模に調査するために、世界1,512カ所で2,260の生態系にわたって何万もの生物群集の生物量と生産量測定値を分析した。Hattonらは生物量の個体数変化には明白なパターンがあると述べている。累乗指数は一貫して約3/4、捕食者の生物量は被食者の生物量に対し3分の1少ないという。同様の変化が生物個々の生産量と生物量を比較した場合にも見られ、このことは、捕食者がいない場合、被食者数は食料が得られれば増加するが、結果的には減少の一途をたどる傾向にあることを示唆している。被食者種間での食料争奪やその他の負の相互作用が認められたこのほぼ直線の個体数変化の一因と考えられるとIan Hattonらは述べている。
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Article #8: "The predator-prey power law: Biomass scaling across terrestrial and aquatic biomes," by I.A. Hatton; T.J. Davies at McGill University in Montr�al, QC, Canada; K.S. McCann; J.M. Fryxell at University of Guelph in Guelph, ON, Canada; M. Smerlak at Perimeter Institute for Theoretical Physics in Waterloo, ON, Canada; A.R.E. Sinclair at University of British Columbia in Vancouver, BC, Canada; A.R.E. Sinclair at Tanzania Wildlife Research Institute in Arusha, Tanzania; M. Loreau at CNRS in Moulis, France.
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