News Release

巨大バクテリオファージから最近発見されたCRISPR酵素はゲノム編集のツールボックスを拡張する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Patrick Pausch、Jennifer Doudnaらによる新しい研究で、最近発見された、巨大バクテリオファージのみに見いだされるハイパーコンパクトCRISPR酵素、CRISPR-CasΦは正常に機能し、Cas9やCas12に比べて幅広い範囲の遺伝子配列を標的にできることなどからCRISPRゲノム編集ツールボックスの新しい強力なツールとなることが報告された。PauschとDoudnaらは、ヒト細胞と植物細胞を用いて標的拡張能力を試験した。また、CasΦはサイズが小さいため、他のCRISPR-Casタンパク質に比べて細胞への送達において新しい利点を提供できる可能性があることも示唆した。遺伝子操作のツールとしてよく知られているが、CRISPR-Cas系は本来、多数の単細胞生物にウイルスやプラスミドに対する適応免疫を与える。宿主のCRISPR RNA(crRNA)は過去に出会ったウイルスのDNAを認識し、CRISPRに関連する酵素またはCas酵素を利用してウイルスを破壊する。CRISPR-Cas系はほぼ細菌と古細菌のゲノムのみに存在して作用しているが、最近、巨大バクテリオファージ(細菌のウイルス)にも発見された。しかし、これらの系には異なる点があり、注目すべきことに、他のCRISPR-Cas系に共通してみられるCasタンパク質がなく、遺伝的にユニークで通常小さいCasΦ酵素のみを持つ。今回、PauschとDoudnaらは、ファージ由来のCRISPR-CasΦ系の機能について報告し、CRISPRゲノム編集ツールボックスを拡張できる可能性を明らかにした。ゲノム編集によく使われるCas9およびCas12系のほぼ半分の大きさであるにもかかわらず、生化学的にユニークなCasΦは、完全な機能を有し、成熟したcrRNAを産生して単一の活性部位のみを用いて外来DNAを切断でき、これまで発見された中でもっとも小さいCRISPR-Cas系となることが報告された。また、CasΦがヒトと植物のゲノム編集の両方で問題なく使用できたことも明らかになった。

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.