新しい化石が発掘されたことで3つの部分で構成される顎の進化の解明にヒントが得られ、板皮類における顎の進化についてこれまで知られていなかったステップが明らかになった。板皮類は絶滅した先史時代の装甲を持つ魚類で、かつては百万年も海域で繁栄していた。これら板皮類に顎が発生したことは初期の脊椎動物の進化における重大な岐路である。現代の脊椎動物の顎はすべて3部分からできているが、板皮類の顎の構造はそれとは異なり、大半の種の顎が骨板でできており、完全な顎でなかった。数年前にMin Zhuらがエンテログナトゥス(Entelognathus)という化石について発表した。しかしそれらの体は板皮類に似てはいるものの、顎は3部構成ではなく、実際にそれが板皮類に分類できるかどうかについては若干の疑問があった。今回、Zhuらは中国の化石層からQilinyuいう名前の新しい種を発掘した。保存されていたこの部分的な化石は長さ126ミリで、全体長は20センチを超えると予想される。この魚の頭部はイルカの形に変異しており、海底に生息し食料を採っていたと考えらえる。Qilinyuと104分類群のその他372種を比較したところ、Qilinyuは確実にエンテログナトゥスの姉妹群であることが判明した。その上、Qilinyuの顎から3部構成の顎の大本も判明し、そういった構造は板皮類から進化したものであり、その発生は板皮類とは無関係ではないことが確認された。PerspectiveではJohn Longがこの発見についてさらに詳しく述べている。
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