News Release

人為的気候変動の新たなフィンガープリント

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

地球大気に対する人間による新しい「フィンガープリント(痕跡)」を気候科学者らが確認したことで、対流圏温度の季節変動に人間活動が影響を及ぼしていることを示す測定可能なエビデンスが提示された。新たな人為的気候変動のシグナルは下層大気温度の季節サイクルが大幅に変化していることを明らかにした。今回の新しい研究で、地球の気候系において自然変動する地域的および季節的サイクルの変化に対する人間の影響が明確になったのである。地球の気候は多数の外的要因の影響を受けており、その外的要因のひとつひとつが気候に独自の影響を与えている。人間活動に起因する「フィンガープリント」を特定するには、そのシグナルを背景ノイズである自然変動から分離しなければならない。気候に対する人為的影響について判明していることの多くはフィンガープリント研究による成果であるが、研究の大半が一年間もしくは十年間の平均値に依存しており、個々の季節の気候変動の促進要因が焦点となっている。Benjamin Santerらは約40年間にわたって対流圏温度を継続的にほぼ地球規模で記録してきた衛星の測定値を用いて、地球の季節サイクルに与える人間の影響のフィンガープリントを特定した。対流圏温度の季節変動について衛星が観測したパターンとモデルによるパターンの両者を、人為的影響のない気候系のシュミレーションモデルで算出した自然な季節変動と対比し、評価を行った。この解析により人間活動に起因するシグナルが統計的に確認された。Santerらの研究結果から、地球上の大半の場所で対流圏温度の季節変動幅が拡大しており、それが最も顕著なのは中緯度地方であることが分かる。この影響が特に当てはまるのは夏季の温暖化が冬季より大きい北半球で、夏に地表の乾燥が進むことがひとつの理由と考えられる。関係するPerspectiveではWilliam Randelが気候系への今後の人間の影響を把握する際の衛星観測の継続性と質の重要性を強調している。

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