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「寛容性」細菌が抗菌薬耐性を促進する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

抗菌薬アンピシリンに最も速く耐性を示す病原性細菌は、まず抗菌薬に対する寛容性を可能にする遺伝子変異を獲得することにより耐性を得ることが、新たな研究により明らかにされた。抗菌薬耐性はヒトの健康にとって重大な脅威であり、細菌が耐性を発現する機序に関する洞察を得ることは、この問題に対処するための解決法を見つけるうえで不可欠である。細菌が抗菌薬への曝露にもかかわらず生存するのは、抗菌薬に曝露された時に自ら不活化できるようになる(寛容性)か、抗菌薬に対して能動的に対抗する機序を獲得する(耐性)かのいずれかによる。今回Irit Levin Reismanらは、間欠的に抗菌薬アンピシリンに曝露させた大腸菌株を分析した。その結果、寛容性をもたらす変異がすでに生じていた株では、耐性の発現がより速いことが分かった。著者らはこの実験データを用いて、寛容性変異がすでに発現している場合に耐性をもたらす変異が生じる確率を計算した。この分析から、寛容性がない場合、耐性変異はほとんどの場合は抗菌薬投与中に消失し、ある集団内で部分的に耐性変異が確立されるためには100サイクルを超える抗菌薬曝露が必要となることが明らかとなった。これらの結果から、寛容性を抑制する新薬あるいは薬物併用が、耐性発現を阻止するうえで有用となる可能性が示唆される。

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