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光遺伝学的に植物の機能を増大させて気孔開閉を迅速にすることで、成長の促進と節水が実現

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、カラシナ類の気孔にイオンチャネルを追加発現させることで気孔の応答速度を上げる新しい方法が開発されたという。このように光遺伝学的に植物機能を強化して気孔の開閉速度を上げると、光合成と水分使用の効率が向上し、光の量が変動する典型的な屋外の生育環境で植物が生産するバイオマスの量が2倍以上増加した。気孔は植物の葉の表面を覆っている小さな穴で、植物は気孔を通して光合成のためにCO2を取り込んだり、周辺環境に応じて気孔を開閉して水を蒸散したりしている。しかし、この二重役割は両立しないことが多く、機能するには片方の犠牲を伴う。つまり、気孔が開くと光合成のために大量の炭素が吸収できる一方、それは水分の損失の増加という犠牲の上で行われているのである。また、気孔は状況の変化への反応も遅い。雲の通過などによって自然光が変動する環境では、気孔は必要以上に長く開いたり閉じたりしたままになっている。その結果、一般的に光合成効率は本来可能なほど良くない上に、植物から過剰な量の水が蒸散している。そこで、炭素と水のトレードオフを回避する能力が作物生産性を向上する有望な手段ではないかと考えられる。Maria Papanatsiouらはこの課題に取り組むべく、光遺伝学的ツールであるBLINK1(青色光誘起K+チャネル)を使用し、シロイヌナズナArabidopsisの気孔に追加のイオンチャネルを発現させた。Papanatsiouらによると、青色光を受けることで誘起するこのチャネルは気孔の開閉速度を上げるという。研究の結果、速度が上がったことでシロイヌナズナの水の使用効率がCO2の吸収を下げることなく向上したことが判明した。

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