News Release

ストレスに強い記憶を形成する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ストレスは記憶を想起する能力を低下させると一般的には言われているが、新しい研究の報告によると、ストレスフルな経験の直後に記憶を調べた場合や極めて効果的な学習方法で学習した場合には、ストレスによるそのような影響はないという。ストレスで記憶検索が損なわれることは多いという一致した認識が広がる中、今回の研究結果はそれに疑問を投げかけるものであった。この10年間に記憶とストレスに関して行われてきた研究の大半では、参加した被験者は未知の物の覚え方について指導を受けておらず、多くの場合、再読つまり再学習といった弱い記憶しか形成しないことが分かっている方法で覚えようとしていた。したがって、すべての記憶がストレスによる有害な影響を受けるのか、もしくは、符号化の弱い記憶だけが影響を受けやすいのかといったことは解明されていない。また、大半の被験者がストレスフルな経験をした25分後、つまり血中コルチゾール値が最も高い時に調べられていたことからも、これまでの研究は複雑化している。Amy Smithらは今回、ストレスと学習方法という両要素の記憶への影響を調査すべく、120名の被験者を招いて画像を覚えてもらった。その後60名の被験者にはそれらを再学習させ、残る60名にはより長期的な記憶を形成することが確実に示されている「検索練習」をさせて、可能な限り多くの画像を思い出してもらった。翌日、両グループにストレスフルな状況を体験させ、続いて5分後、前日の画像を思い出してもらった。前日に画像の「再学習」だけを行った被験者では、ストレスを受けた被験者の方がストレスは受けなかった被験者よりも思い出せる画像が少なかった。一方、「検索練習」を行った被験者ではストレスを受けていても受けていなくても想起結果はほぼ同じで、まるでストレスは存在しなかったかのようであった。さらに、「検索練習」を行った被験者はストレスも受けても、再学習だけを行いストレスは受けなかった被験者より良い結果を出した。

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