News Release

欧州難民危機問題と考えられる解決策

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

今回のPolicy ForumではRandall HansenとShalini Randeriaが欧州の難民受け入れについてのリベラル派と保守派のさまざまなイデオロギー的視点について述べ、欧州諸国が門戸をより大きく開放した政策を採用すべき理由をまとめている。世界には少なくとも6,500万人の避難民が存在し、そのうち2,100万人は国境を越えて難民認定を申請している。欧州はその規模と経済力を考えると難民の数は比較的少ないが、それでさえ、かなりの数の市民が難民受け入れに反対しているとHansenとRanderiaは述べている。多数の欧州諸国では移民反対という理由で右派が人気をあげている。しかしその一方、難民危機についてのリベラルな人道的アプローチにより、欧州は少なくとも公正な割り当て数の難民を受け入れることになるであろうとHansenとRanderiaは言う。彼らによると、経済の観点から、スカンジナビア諸国やスイス、ドイツ、オーストリアといった一部の欧州諸国は安定した福祉国家であり、調整された職業訓練をベースとした経済活動を行っているが、実際それらは移民にとって多少の問題がある。たとえば語学力が不足している人は、見習いとして訓練を受ける際、ひいては仕事の資格(高い技術を必要としない仕事でさえ)を得る際に多大な課題に直面する。逆に、賃金を低くして生活保護を充実させるのは難民の受け入れに障害になるとHansenとRanderiaは述べている。主流である保守派の政治家らは非熟練移民を受け入れようという労働市場と福祉の改革にはるかに前向きではあるが、伝統的に保守派は安易なもしくは早い段階での市民権取得に反対しており、二重国籍を拒否している。イデオロギー的信念とは関係なく、人口が高齢化し、減少もすることから、欧州は若い外国人を受け入れることになるはずである。若い外国人によって労働市場における不足が緩和され、彼らの納税によって目減りした国の年金基金も補強されるとHansenとRanderiaは言う。行動を起こすにあたり、EUメンバー諸国は一定数の難民を中東から直接受け入れることに同意すべきだとHansenとRanderiaは述べている。そうすればトルコに頼って難民の流れを食い止める必要がなくなる。それと同時に開発支援も増やし、その対象を世界の難民の大半が現在住んでいるグローバル・サウスの国々や難民にすべきだとHansenとRanderiaは結論づけている。

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