東京大学 生産技術研究所の松永 行子 講師とポティ・ジョリス 特任研究員らのグループは、ヒトの血管内皮細胞由来の微小な血管をマイクロデバイス上に形成し、血管新生阻害薬の効果を生体外で評価する、in vitro(インビトロ)薬剤評価系を開発しました(図1)。
がん組織は、周囲に血管内皮細胞増殖因子(VEGF)などのたんぱく質を分泌し、近くの血管の新生を促して大量の栄養や酸素を獲得していることが知られています(図2)。今回開発した系にVEGFを加えると、盛んに毛細血管が新生しますが(図3)、既存の血管新生阻害薬で処理することで、この血管新生を抑制できることを確認しました(図4)。また、微小血管内に蛍光物質を注入し、血管の外にどれだけ漏れ出すかを観察し、血中の不良な成分が体内に侵入しないようにブロックする「血管のバリア機能」を検証した結果、既存の血管新生阻害薬が与える影響が大きく異なることが分かりました。今回開発した技術は、血管新生と血管透過性の双方について、薬剤が与える効果を定量的に評価することが可能です。
この研究は、東京大学とフランスCNRSの日仏国際共同研究ラボLIMMSの在仏研究拠点SMMIL-E( スマイリー)プロジェクトとして行われました。また、本成果は、2017 年12月20日(英国時間)にCell Press誌とLancet誌が共同でサポートするオープンアクセス「EBioMedicine」にてプレ掲載されました。
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EBioMedicine