News Release

天気のパターンから放射性物質の拡散方向を予測

〜 機械学習で信頼性を高め、被爆リスク低減をめざす 〜

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

Hourly Variations in the Distribution of Radioactive Material Deposition

video: The white shaded area shows the hourly atmospheric concentration of 131I in the simulations using the estimated emission condition from 11 to 31 in March 2011. view more 

Credit: 2018 Takao Yoshikane, Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

 東京大学 生産技術研究所の芳村 圭 准教授と吉兼 隆生 特任講師は、放射性物質の拡散方向を予測する新たな手法を開発しました。低気圧や季節風など天気のパターンから拡散方向を予測し、機械学習を用いて予測情報の信頼性を示すものです。

コンピュータシミュレーションにより、放射性物質の拡散分布を詳細に予測することは極めて困難です。大気現象の複雑さに加え、コンピュータシミュレーションそのものに不完全さがあるためです。しかし、緊急時には、予測の不確実性を低減した信頼性の高い予測情報が求められます。

風が広範囲に一様で一定期間吹き続ける状況では、放射性物質は放出源の風下側の方向に輸送されます。例えば、大型の低気圧や季節風が強い場合には、放射性物質の分布に大きな偏りを生じます。その特性はシミュレーションでも再現できます。

本研究では、コンピュータシミュレーションによる予測の不確実性を考慮し、広域での拡散方向(4方向)を定義して天気パターンとの関係性を調査し、機械学習を用いた拡散予測手法を開発しました。過去5年間分にわたり、天気パターンからの推定結果と実際の拡散方向とを比べたところ、適中率の平均は0.85以上、天気予報(地上風の33時間予報値)を適用した場合でも、0.77以上と高い適中率を示しました。

被曝リスクを完全になくすことは不可能ですが、減らすことは可能です。事前に拡散方向を把握することにより、被曝リスク低減のための適切な防護措置を講じることが可能になります。情報を広く共有しフィードバックすることにより、大幅な手法の改善が期待できます。さらに、人工知能など最新の技術を採用し、より信頼性の高い情報の提供をめざします。

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