News Release

コンピュータ・プラットフォームで多発性骨髄腫の治療を最適化する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Masturah Bte Mohd Abdul Rashidらは、不治の血液癌である多発性骨髄腫(MM)の治療用薬物の組み合わせを最適化する新しいプラットフォームを開発した。QPOPと名付けたこのコンピュータ・プラットフォームは、いつの日か、標準治療に耐性となったMM患者の臨床転帰の改善に役立つと考えられる。併用療法は、1つの分子経路を破壊するだけの単剤療法よりも有効となりうるため、多くの癌治療計画の中心となっている。MM(悪性形質細胞が関与する血液癌)は、ボルテゾミブ(奏効率が良好な第一選択薬)を含む併用療法で治療することが多い。しかし、ほとんどのMM患者はボルテゾミブに対する耐性を発現するため、結局再発してしまう。このため、治療耐性を克服するまたは未然に防げる併用療法を明らかにする必要性が強調されている。Rashidらは、高度な数学的方程式を用いて治療に対する生物学的反応を見積もる、二次表現型最適化プラットフォーム(quadratic phenotypic optimization platform:QPOP)というツールを開発した。従来のモデルとは異なり、QPOPでは、治療を最適化するための薬物の機序や組成に関する事前に決定した情報は不要である。Rashidらは、FDAが承認した14個の抗癌薬の128種類の組み合わせを用いてこのプラットフォームを試験し、QPOPが、ボルテゾミブ耐性MMに対する有効な組み合わせと用量を識別できことを明らかにした。ボルテゾミブ耐性MMのマウスモデルに対して承認薬マイトマイシンCとデシタビンを併用すると、腫瘍サイズが減少し、生存が延長された。このことは、MM患者に対する有望な薬剤の組み合わせを明らかにする取り組みにおいて、このプラットフォームが有用なツールとなり得ることを示唆している。Rashidらは、QPOPを他の血液癌の治療にも適用できるかどうか評価するためには、さらに研究を行う必要があるとも述べている。

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