東北大学材料科学高等研究所(AIMR)の菅原 克明助教、高橋 隆教授、同理学研究科の佐藤 宇史教授、名古屋大学大学院工学研究科の乗松 航助教、同未来材料・システム研究所の楠 美智子教授らの研究グループは、炭素原子が蜂の巣状に結合した原子シート(グラフェン)が3枚積層した3層グラフェンにおいて、2種類存在する積層パターン(ABAおよびABC構造)の作り分けに初めて成功しました。電子状態の精密な測定から、ABA構造をもつ3層グラフェンでは、質量ゼロの超高速電子(ディラック電子)が存在する一方、ABC構造ではディラック電子は存在せず、有限の質量を持つ自由電子的な電子状態が実現されていることを見出しました。この結果は、3枚重なったグラフェンの積層パターンを変化させて、異なる電気的特性を持つグラフェンを作り分けられることを示しています。今回の成果は、グラフェンの積層構造を制御した高機能ナノデバイスの開発に大きく貢献するものです。
本成果は、平成30年2月9日に英国科学誌Nature系の専門誌NPG Asia Materialsのオンライン速報版で公開されます。
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NPG Asia Materials