News Release

科学研究:種の保存に役立つ知識として、従来の800%の情報が動物園と水族館から提供される

個体群の評価に使用する情報として、世界各国の約1,200の動物園と水族館がこれまで未発表の情報を共有、種に関する知識が8倍に増加

Peer-Reviewed Publication

Species360

Species Knowledge Index of Demographics

image: The Species Knowledge Index maps what we know for 32,411 known species of mammals, birds, reptiles, and amphibians - in this case, with an eightfold gain after adding data from the Zoological Information Management System curated by 1200 zoos and aquariums worldwide. view more 

Credit: Species360 Conservation Science Alliance

ミネソタ州、ミネアポリス – 2019年4月16日 – 現在、我々は人類に関して膨大なデータを利用できますが、その他の種に関する情報は驚くほど少なくしかありません。米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に今週発表された論文では、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類に含まれる既知の種98%以上について、出生率や生存率といった重要な情報がいまだに存在しないことを指摘しています。

大量絶滅の影響を抑えようとする自然保護活動家たちの遠大な取り組みの他方で、ここにはギャップが生じています。少なくとも、IUCNのレッドリスト、IUCNの種の保存委員会、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Flora and Fauna:CITES)、TRAFFIC、モニター、その他の機関に関与する科学者にとっては、情報に基づいた決定を行うために、完全なデータが必要です。

主任研究者でSpecies360 Conservation Science Alliance(Species360 保全科学アライアンス)のディレクターであるDalia A. Condeは次のように述べています。「驚かれるかもしれませんが、種の保存に携わっている科学者たちは、現実に最も近いと思われる、最善な推測に基づいて活動しなければならないことが多々あります。」

Interdisciplinary Center on Population Dynamics(CPop)、オックスフォード、マックス・プランク人口研究所、南デンマーク大学、サンディエゴ動物園、Species360 Conservation Science Allianceの研究者たち(19拠点の研究機関の参加者たちを含む)が主導する集学的チームでは、長い間見過ごされてきたデータを新たに分析することで、知識を大幅に増やせると確信しています。

種がリスクにさらされる場面や個体群の増加に最適な方法を予測するには、メスの生殖年齢、成体になるまで生存できる幼生や子の数、成体の生存期間に関する知識が必要です。現在どのようなデータが利用可能か理解し、欠けている部分を測るために、研究者らは、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類の現在知られている32,144種について利用可能な個体群の統計学的情報を分類するSpecies Knowledge Index(種に関する情報インデックス)(SKI)を開発しました。

サンディエゴ動物園の遺伝学ディレクターOliver Ryder (Ph.D.) は次のように述べています。「種に関するインデックスとして、個体群の統計学的知識があれば、遺伝学的データと組み合わせることで、個体群の生存能力に影響する事象を推測することができます。個体群の深刻な減少、いわゆる遺伝的ボトルネックは、絶滅寸前のサイの研究でわかっているように、個体群のサステナビリティに影響します。」

まず信頼できる世界的な情報源に目を向けてみると、インデックスに出生率と死亡率についての包括的な情報が登録されているのは、種の主要クラスのうち1.3%に過ぎません。個々の種の個体群の統計学的知識を図式化したマップには多くの空白が残っています。

そこで、研究者らがこれまで未発表の情報源、すなわちZoological Information Management System(動物学情報管理システム)(ZIMS)からデータを追加したことで変化が起きました。種のクラスを超えて、空白のうち重要な場所にデータが追加されるようになりました。

Condeは次のように述べています。「ZIMSの追加は薄暗い部屋に明かりをともすようなものです。クラスごとに、哺乳類から両生類まで、個体群を評価し、脅威にさらされ絶滅の危機にある脆弱な種を擁護するために自然保護活動家たちが必要とする基本的なデータをもつことによって、大きなギャップが埋められていきました。」

ZIMSの導入によって、生物の情報の包括的な一覧表として個体群の評価に使用できるSpecies Knowledge Indexは8倍の規模になりました。ある個体群が今後数年にわたってどの程度健全であるかを推察する重要な要素のひとつであるメスの最初の生殖年齢に関する情報は、73%も増加しました。

ZIMSの情報は、97ヵ国の動物園、水族館、保護、研究、教育センターに勤務している野生動物専門家たちが収集しています。これは、約1,200の加盟機関での情報共有を推進し、野生動物に関する世界最大のデータを持つ加盟機関主導型の非営利団体であるSpecies360によって維持管理されています。

「比較生物学と保全生物学におけるデータギャップと機会」という研究では、データ自体の価値をはるかに超える価値があることが示唆されています。Conservation Science Allianceとその他の研究者が、ZIMSなど、世界的な情報源から収集したデータを分析し、絶滅の危機にある種の今後に影響する見識を集めています。これにより、加齢の進行に対する理解など、比較生物学と進化生物学に関するさらに重要な理解を得られるでしょう。

データ分析学者、生物学者、個体群動態論の専門家を含む33人の科学者から成るチームによって、世界中の種についてどの程度の情報があるかを図式化する最初のSpecies Knowledge Indexが開発されました。このインデックスでは、22のデータベースとIUCNのレッドリスト(脅威にさらされている種)からデータを収集し、分析し、図式化することができます。

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Species360 Conservation Science Allianceについて

Species360 Conservation Science Alliance(Species360 保全科学アライアンス)は、世界的な野生動物のデータを種の保全活動に転換する研究イニシアチブです。その成果は、種を絶滅の危機から救うために役立つより適切な情報とツールとして、野生動物保護活動のリーダーたちに提供されます。協賛パートナーとして世界動物園水族館協会(World Association of Zoos and Aquariums:WAZA)、シンガポール動物保護局(Wildlife Reserves Singapore:WRS)、コペンハーゲン動物園があります。

Species360について

Species360は、水族館、動物園、野生動物保護センター、教育、研究機関の世界的な協力を推進する非営利非政府機関で、世界的な動物の福祉と保護を目標に活動しています。Species360の加盟機関が力を合わせ、野生動物に関する世界で最も包括的なデータベースであるZoological Information Management System(ZIMS)に情報を集めています。

Media Contact: Mary.Ellen@Species360.org


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