ブレーザーとして知られるある天体が高エネルギーニュートリノ発生源であることが2件の新たな研究によって報告されている。ニュートリノは軽粒子であり、通常の物質との相互作用は非常に弱い。2つの天体(太陽および近傍にある超新星)だけが天体物理学的ニュートリノ発生源であることが以前知られていて、30年間にわたり新たな発生源が発見されていなかった。南極大陸の南極近くにあるIceCubeニュートリノ観測所から得られたデータを分析していた研究者らが2013年、天体物理学的高エネルギーニュートリノを発見しており、それ以来、これらのニュートリノ発生源を探していた。現在、IceCubeコラボレーションでは、高エネルギーニュートリノ事象が検出され、その到来方向が既知のブレーザーと合致することが報告されている。クエーサーの1種であるこのブレーザーでは、地球に向かう視線方向にそのまま沿ったジェットが超大質量ブラックホールに降下する物質によって生成されている。IceCubeコラボレーションの1つ目の論文では、今回の検出ならびに種々の天文学者らのグループと連携して、いわゆるマルチメッセンジャー天文学が実施され、同一の天体を光およびニュートリノで観測したことが記述されている。今回のニュートリノ信号が2017年9月に到来した時、TXS 0506+056と呼ばれるこのブレーザーが「フレア状態」にあり、複数の波長で明るい放射のあったことが分かっている。無線波からガンマ線までの電磁スペクトルにわたって観測が実施された。今回の発見に刺激されて、IceCubeコラボレーションの別の報告では、2017年のフレアからほぼ10年前までの間にIceCube によって検出されたニュートリノの記録が検索された。ニュートリノ事象がTXS 0506+056ブレーザーの場所において追加で発見されており、複数回のバーストでニュートリノの発生したことが示されている。まとめると、高エネルギーニュートリノがこのブレーザーから発生していることがこれらの研究によって実証されており、マルチメッセンジャーニュートリノ天体物理学の新たな分野が確立された。
###
Journal
Science