ある主張の真実性に対する個人の確信度が変化することによって、他の発言の真実性に対するその人の確信度がどのように変化するかを、新しいモデルで探れるようになった。このツールは、新しい信念に対する個人の納得されやすさに関して、疑問の解決に役立つ可能性がある。数々の研究で示されてきたように、人は他人の社会的合意を単に受け入れたり拒否したりすることで、意見を形成することはめったにない。たとえば、進化論や人為的な気候変動を受け入れない人々は、こうした問題について科学的合意に達していることは承知しているかもしれないが、別の複雑な社会的要因や環境的要因が彼らの最終的な意見に影響を及ぼしているせいで、どうしてもその考えを受け入れられない。今回、多様な信念をもつ人々における社会的影響を表現するように作られたモデルを使用することで、Noah Friedkenらはこの現象の理解へ向けて一歩前進した。彼らの研究は、いわゆるフリードキン‐ジョンソン(Friedkin-Johnson)モデルと言われる、個人が複雑な状況でどのように意見を形成するかを探るモデルを拡張したものであり、根底にある信念(たとえば、人類の文明はそれほど大したものではないので、地球環境を変えることなどできないという信念。この信念のせいで、人為的な気候変動が信じられなくなる可能性がある)の影響力をうまく説明している。Friedkinらは、モデリング・フレームワークに「個人内」の影響メカニズムを組み込み、ある提案の受け入れが他の提案の受け入れに影響するようにした。このフレームワークを使用して理論試験を実施し、イラクに大量破壊兵器が存在する証拠の信頼性に関して、米国内で信念が変化したときに何が起こったのか、そしてその結果、イラクへの侵攻が正当だったかどうかに関する考え方にどのような影響を及ぼしたかについて調べた。また、少数あるいは大勢がもっている信念が、対人ネットワークにどのような影響を及ぼすかも明らかにしている。関連するPerspectiveでは、Carter Buttsがこの研究をさらに掘り下げている。
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