研究者らは、捻る動きや伸びる動きからエネルギーをハーベストできる、カーボンナノチューブ製の一種の「糸」を開発した。このような方法は、モーションセンサーの開発や、エネルギー源から、とりわけ海洋波からエネルギーを得るために有用となる可能性がある。機械的エネルギーを電気に変換することは、自家動力式デバイスの開発や、自然のエネルギー源の利用にとって魅力的な方法である。しかし、伸びる動きや捩る動きのエネルギーを利用する取り組みは、これまでは非常に少ない電流による回路に限られていた。今回Shi Hyeong Kimらは、物質に捩りを若干加えることで、大きな効果が得られることを発見した。著者らは多層カーボンナノチューブから成るシートに高強度の糸を織り込んだものを作製し、このシートを単に少しだけ捩るのではなく、らせん状のコイルになるまで強く捩ってみた。このようにしてできたコイルについて、跳ねるような動きをエネルギーに変換する能力を調べたところ、単に捩っただけでコイルを成していない物質よりも、はるかに変換効率が高いことが分かった。コイルを成している糸の捩りを少しだけ戻してみても、コイルの形状が失われることはなく、それどころかコイルの直径が増加し、伝導能力が高まった。著者らは、コイルを成したナノチューブを組み合わせた電池によりエナジーハーベスティングデバイスを作製し、これを「ツイストロン・ハーベスター(twistron harvester)」と名づけた。韓国の海岸沖で、このツイストロンについて海洋波からエネルギーをハーベストする能力を確かめたところ、10センチの長さのデバイスにより46 mVの電圧と、平均して1.79 mWの出力を得ることができた。また著者らはこのデバイスを、例えばシャツに織り込んで呼吸に伴う動きをモニターするなど、モーションセンサーとしても利用できる方法を示している。
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