News Release

海洋の酸性化が海洋細菌の窒素固定力を低下させる可能性

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

二酸化炭素濃度が上昇すると「施肥」効果により海洋中の窒素固定細菌の生産性は理論的には増大するが、海水がより酸性化することでこの恩恵が相殺され、窒素固定細菌が海洋生物に提供している必要不可欠な機能が損なわれる可能性があることが、研究によって新たに示された。今回の結果は、これまでの研究結果の相違点の解明にも役立つものである。トリコデスミウム(Trichodesmium)は海洋の窒素固定量の最大50%に貢献しているとされる非常に一般的な藍色細菌(シアノバクテリア)であり、この細菌が環境の変化にどう対応するかを理解することは非常に重要である。過去の研究では、酸性化が進むことでトリコデスミウムの窒素固定速度、光合成速度、および成長速度は大幅に上昇するという結果が示されたこともあれば、これらの速度は大幅に減少すると主張している文献もある。さらに理解を深めるため、Haizheng Hongらは、以前の研究結果に影響を与えていたとされるアンモニウムと銅の混入による影響を取り除いたうえで、管理された状況下でトリコデスミウムを研究した。これにより、水が酸性化すると、二酸化炭素濃度が上昇してもトリコデスミウムの窒素固定能力に負の影響を及ぼすことが判明した。この負の影響は、トリコデスミウムにとって必須の栄養素である鉄分が限られている場合、より顕著に現れることも判明した。今回の実験中に変数の操作を伴う主要な細菌タンパク質の解析を行った結果、鉄分が限られた状況において酸性化が進むと、窒素固定力の損失を補うためにタンパク質間で鉄の再配分が必要となることが明らかになった。研究者らはまた、鉄の海表面濃度が非常に低く、窒素固定を制限する可能性が高いことが確認された南シナ海北部の3ヵ所の観測所で様々な状況下のトリコデスミウムのサンプルを採取した。

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