News Release

独立して生命を維持するために必要な遺伝子だけで最小細胞を作る

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Creation of Minimal Cell with Just the Genes Needed for Independent Life

image: Researchers have designed and synthesized a minimal bacterial genome, containing only the genes necessary for life. This material relates to a paper that appeared in the March 25, 2016, issue of <i>Science</i>, published by AAAS. The paper, by C.A. Hutchison III at J. Craig Venter Institute in La Jolla, Calif., and colleagues was titled, "Design and synthesis of a minimal bacterial genome." view more 

Credit: C. Bickel / <i>Science</i> (2016)

研究者らは、生命維持にとって必要な遺伝子のみからなる最小の細菌ゲノムをデザイン・合成し、含まれた遺伝子はわずか473であった。今回の研究は、このチームが2010年に発表し、自己複製する合成細菌細胞を作製した画期的な研究をさらに進め、ゲノムをコンピュータでデザインし、研究室で科学的に合成し、レシピエント細胞に移植して、合成されたゲノムによってのみ制御される自己複製する新しい細胞を作製できるという原理証明を提供した。これに次いで、Craig VenterとClyde Hutchisonが率いるこのチームは、1995年以来の最終的な目的である、生命をそのもっとも単純な形態で維持するために必要な遺伝子のみを含む最小細胞の合成に取り掛かった。この取り組みは、科学者にとって、細胞内のすべの不可欠な遺伝子の機能を理解する上で有用となる可能性がある。 この研究を行うため、VenterとHutchisonらは、自律的に自己複製する細胞のなかで最小のゲノムを有することが知られているマイコプラズマに再び注目した。2010年に研究者らは、マイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)のゲノムを合成していた。今回、以前の文献に基づいて、構成する遺伝子が不可欠なものかどうかを正確に分類するための検証が各々について可能な8つの部分からなる、仮説上の最小ゲノムをデザインした。このデザイン‐作製‐検証のプロセスにおいて、研究者らは、細胞の確実な成長には必要であるが生命維持にとって絶対的に不可欠なわけではない、準‐不可欠なゲノムの同定にも取り組んだ。一連の実験において、VenterとHutchisonらは、トランスポゾン(異質な遺伝子配列)を多数の遺伝子に挿入し、それらの機能を停止させることで、細胞の全体的な機能にとってどれが必要なのかの判定を試みた。研究者らは、合成した削減ゲノムから遺伝子を減らしていき、これ以上遺伝子を停止できなくなって、可能な限りゲノムが小さくなるまで実験を繰り返した。重要なこととして、分析の結果、最初に「不可欠でない」として分類された一部の遺伝子が、実際は残った遺伝子と同じく不可欠な機能を果たすことが明らかになった。こうして、対の遺伝子のうち一組が最小ゲノムに残されることとなった。JCVI-syn3.0と名付けられた最終的なゲノムは473の遺伝子から成っており、これは今まで自然界に存在した自律的に複製するいかなる細胞よりも小さなゲノムである。作製された最小ゲノムはDNAの修飾・制限を行う遺伝子を全く欠いており、リポ蛋白質をコードするほとんどの遺伝子を持っていない。これに対して、ゲノム内で遺伝情報の読み込みと発現に関わる遺伝子、ならびに世代を通じた遺伝情報の保存に関わる遺伝子のほとんどは保持されている。興味深いことに、JCVI-syn3.0の遺伝子のほぼ31%は、その正確な生物学的機能が今だに明らかでない。しかし、これらの遺伝子の多くのホモログと考えられるものが他の生物で幾つか発見され、これによりそれらの遺伝子は機能が明らかにされていない一般的な蛋白質をコードすることが示唆される。JCVI-syn3.0プラットフォームは、生命の核心的な機能を研究する上で用途の広いツールとなる。

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