News Release

より良いプラスチックで持続可能な未来を

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい3つのPerspectiveと1つのEditorialでは、より持続可能で再生利用しやすいプラスチックの開発における、課題と進歩を取り上げている。1番目のMarc A. Hillmyerは、豊富に存在し「再生可能な」資源である植物から、プラスチックやその他のポリマーを作る技術の進歩について論じている。主要な出発原料であるモノマーのなかには、植物から生産しても採算が取れる方法がすでに開発されているものもあり、こうしたモノマーについては研究が進んでいる。もうひとつの方法は、まったく新しい植物由来のプラスチックを開発するというものである。生物由来化合物の改変を正確に制御するのは難しいが、新しい添加剤やコモノマー、高分子構造によってこの欠点に対処する方法が研究されている、とHillmayerは述べている。もうひとつの重要な課題は、この豊富な資源を有用な化合物に変えるだけでなく、それを効率よく行うことだという。非常に有効で選択的性の高い触媒と、高収率で原子経済性の高い代謝経路を見つけるには、基礎研究が必要だと彼は述べている。

Jeannette M. GarciaとMegan L. RobertsonによるPerspectiveでは、プラスチック廃棄物のごく一部しか再生利用されていない理由について考察している。固形プラスチックの年間世界生産量の約半分(1億5000万トン)が、毎年世界中で捨てられている。米国だけでも、プラスチック廃棄物による損失は推定83億ドルになる。著者らは再生利用に関する多くの課題について論じている。たとえば、種類の多いプラスチックの分別に関する課題、プラスチックの再生利用に必要なエネルギー、従来は再生利用できなかったポリマーの再使用を可能にするような再生利用技術の拡大などである。こうした課題に対処するおもな方法は、より良い触媒や、再生利用しやすい新たなポリマーや、合成プラスチックの再生利用方法などを開発することであり、その際に高度な計算モデル化やデータ分析が役立つ可能性がある、とGarciaとRobertsonは述べている。

別のPerspectiveでは、Ann-Christine AlbertssonとMinna Hakkarainenが分解性プラスチックの開発における課題を取り上げている。多くの用途でプラスチックには耐久性が求められるが、この特性のせいでプラスチックはいつまでも自然環境に残ってしまう。より分解しやすいプラスチックを工学的に作り出す試みがなされてきたが、自然環境は分解に寄与する因子(湿度、微生物、酸素、太陽光、温度など)に大きなばらつきがある、と著者らは述べている。彼らによると、今までのところ、最も普及している「環境分解性」のポリマー材料は、脂肪族ポリエステルを基に作られているか生分解性化学結合でくっ付いているかであるため、多少は期待できるものの、まだあらゆる自然環境において迅速または完全に分解するわけではないという。最後に、弱い結合または切替可能な結合と階層構造とを併せ持つことが多い生体システム(木など)から学ぶべきだと、著者らは強調している。

Ellen MacArthurによる付随するEditorialでは、政策立案者と財界の指導者がより持続可能なプラスチックを慣行化することが急務だと強調している。彼女は、プラスチック製造業者に製品の全寿命にわたって責任を負わせる政策が、特に効果的だろうと述べている。こうした政策はEUの法律に最近導入された。再生利用できない現在のプラスチックから脱却するには、大幅な再設計と革新が求められる、とMacArthurは強調している。

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