News Release

個別化スキンローションは病原菌を寄せ付けない

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ヒトの皮膚にもともと住み着いている無害な細菌の分泌物から、病原性のあるタイプの黄色ブドウ球菌を特異的に死滅させた2つの新しい抗菌薬が発見されたことが、新しい研究で報告された。「親切な」細菌を含む個別化ローションは、アトピー性皮膚炎(AD、20%の人が一生のいずれかの時期に罹患する、高頻度の皮膚感染を特徴とする病態)の患者5例の黄色ブドウ球菌のコロニー形成を予防した。有益な細菌の特定の株は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA、治療しにくく死に至らしめることもある病原体)の増殖を抑制することもできた。今回、Teru Nakatsujiらは、保護的な細菌から2種類の新しい抗菌ペプチド(AMP、ヒトの免疫系でも産生されている一種の抗菌物質)を単離した。細菌のAMPは、ヒトの類似物質のみよりも黄色ブドウ球菌の除去に有効であり、双方の物質を併用投与すると効果が促進された。さらに、AMP産生微生物は、健康な皮膚に関係のあるアクネ菌、表皮ブドウ球菌、Corynebacterium minutissimuなどの他の生物の増殖を抑制しなかった。Nakatsujiらは、AMPをコードする特定の微生物遺伝子に関する知識をもとに、AD患者の皮膚上にいる少数の保護的な細菌を特定し、各個人から単離した細菌を含むユニークなローションを開発した。このローションは患者の黄色ブドウ球菌のコロニー形成を予防した。この選択的介入法はすでに米国FDAによって承認されており、現在臨床試験が行われている。この方法は、皮膚微生物叢の保護的な微生物をも殺傷してしまうために利益以上に害をもたらしうる広域抗菌薬を必要とすることなく、皮膚感染症を予防できる。

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